研究テーマ概要

Theme01: 精密重合法による特殊構造ポリマーの合成



多数の分岐構造を有する星型ポリマーや環構造を有する単環状・多環状ポリマー、かご型ポリマーはその特殊な構造に由来して通常の直鎖状ポリマーとは異なる物性を発現します。私たちは、様々な精密合成技術を駆使して、これらのいわゆる "特殊構造ポリマー" を効率的に得る手法を開発することで、より詳細な物性解析や有用な材料開発を目指して研究を進めています。


例:有機分子触媒とクリック反応を用いた特殊構造ポリマーの精密合成

この研究に関連する論文はコチラ
論文1(星型・八の字型)

他にも様々な特殊構造ポリマーの合成を行なっています
論文2 (単環状・八の字型・タッドポール型)
論文3(星型)
論文4(ブラシ型)
論文5(多環状・かご型)

Theme02: 構造制御されたナノ構造体の開発



複数の異なるポリマーが化学的に結合した "ブロック共重合体" は、各ブロックの性質に応じて固体中または溶液中で自己組織化します。その結果、固体中では周期的な規則構造である "ミクロ相分離構造"、溶液中ではナノスケールの会合体である "ミセル" や "ベシクル" などが形成されます。ミクロ相分離構造はフォトリソグラフィ(半導体素子の微細加工技術)のマスク材料などへ、ミセルやベシクルはドラックデリバリーシステム(体内の目的の部位へ薬物を輸送するシステム)のキャリア材料などへの応用が期待されています。私たちは精密合成したブロック共重合体の自己組織化挙動を詳細に解析することで、様々な目的に応じたナノ構造体の構築を目指しています。また、これらのブロック共重合体を Theme01 のように特殊構造化すると、直鎖状のブロック共重合体とは異なるナノ構造体を形成する場合があるため、ポリマー構造とナノ構造体の相関関係の研究は非常に重要な課題です。


例:オリゴ糖とポリカプロラクトンからなるブロック共重合体。分岐構造の違いに応じて固体中および水溶液中で異なる自己組織化構造を形成。

この研究に関連する論文はコチラ
論文1
論文2
論文3

Theme03 微生物を用いた機能性ポリマーの創製



バイオマスは "再生可能な生物由来の有機性資源" であり、バイオマスを原料とした材料開発は今後の日本を支える重要な課題の一つです。微生物により合成される生合成高分子は人工的な高分子材料と比較して様々な利点を有しています。天然高分子であるセルロースは地球上に豊富に存在するバイオマスであり、高強度などの特性を生かして様々な材料として私たちの生活で広く利用されています。セルロースは基本的に化学合成することができず、そのほとんどが植物によって合成されていますが、ある種のバクテリアもセルロースを合成することが知られています。


バクテリアセルロースは "セルロース合成酵素複合体「ターミナルコンプレックス(TC)」"で合成されていると考えられていますが、その合成メカニズムは未だに解明されていません。私たちの研究室ではこのバクテリアが作るセルロースである "バクテリアセルロース" に注目し、合成メカニズムの解明に加えて新規機能性材料の創製を目指しています。

Theme04: 有機分子触媒を用いた精密重合系の開発



ポリエステルやポリエーテルは生体医療材料などに応用される有用な高分子材料であり、有機金属触媒を用いた開環重合により精密合成が達成されてきました。近年では、金属元素を全く含まず、環境低負荷な "有機分子触媒" を用いた重合系が数多く報告されています。私たちの研究室では、環状モノマーの開環重合における精密重合が可能な有機分子触媒を探索し、新しい精密重合系の開発を目指して研究を進めています。


例:有機金属触媒による環状エステルの精密開環重合

この研究に関連する論文はコチラ
論文1
論文2
論文3